検定結果の解釈とその記載方法


表現方法

検定結果の解釈

非有意とは

 統計的仮説検定で得られる結論は、「有意差あり」か「有意差なし」のいずれかになる。ここでは、この結果を解釈するときの留意点について説明する。

 まず、「有意差あり」となった場合は、同等性の検証などの特殊な例を除くと、通常は、差があった、あるいは、関連が認められたという解釈が許される。同等性の検証も含め、どのような場合でも、「仮説が否定された」という、明確な結論を得られたことになる。

 これに対し、「有意差なし」は「仮説が肯定された」という結論にはならないので注意が必要である。すなわち、「差は無かった」とか「関連は認められなかった」という解釈は許されない。「有意差なし」とは、言い直すと「仮説は棄却されなかった」ということであり、肯定も否定もされない中途半端な状態を意味している。すなわち、白か黒かの判断が付かなかったということであり、白(仮説を肯定)の保証にはなっていないのである(黒の保証にもなっていない)。

 「標本数と統計的有意差」で説明しているように、100人規模のデータでは、AB両群に20ポイント以上の回答率の差がないと、カイ2乗検定結果は有意とはならない(危険率5%)。従って、有意差なしであっても、10ポイント程度の差がある可能性は残されているわけで、「AB群に差は認められなかった」という解釈が許されないことが、この例で納得できるはずである。

 ただし、「有意差なし」を「差がなかった」として解釈することが許される場合がある。これも「標本数と統計的有意差」で説明しているが、10万人規模の調査において、両群に1ポイントの回答率の差があれば、統計的には有意となる。従って、有意差なしであれば、両群に差があるとしても1ポイント以下となる。多くの場合、1ポイント程度の差は問題とはならない。このような場合に限り、「有意差なし」を「差がなかった」とする解釈が許される。

 以上まとめると、「有意差なし(非有意)」は「今回の標本数で検出できる差は、認められなかった」とするのが、常に正しい解釈となる。標本数がかなり多く、現実的に問題となる差を検出できる規模になっている場合に限り、「差が認められなかった」との解釈が許されるが、標本数が少ない場合は、「差があるのか無いのか、判定出来なかった」と解釈すべきである。


文章での一般的表現方法

ポイント

何と何を、どの手法により検定(比較)したかも明記する

有意差ありの表記例

 

・A群とB群での発生率をカイ2乗検定を用いて検定した結果、有意差が認められた(p<0.05)。

注:(p<0.05)の表記は、有意差の直後に記載しても良い

  確率が求まっているときは

   (p=0.03) あるいは (p=0.03 < 0.05) 等と表記しても良い

・両群での反応時間を、危険率を5%としてWilcoxon検定により比較した結果、有意差が認められた。

・前後の値を、符号検定と対応のあるt検定により検証した結果、いずれも有意差が得られた(p<0.01)。

有意差なしの表記例
 

・A群とB群での発生率をカイ2乗検定を用いて検定したが、有意差は認められなかった(p>0.05)。

注:(p>0.05)の表記は、有意差の直後に記載しても良い

  確率が求まっているときは

   (p=0.08) あるいは (p=0.08 > 0.05) 等と表記しても良い

・両群での反応時間を、危険率を5%としてWilcoxon検定により比較した結果、有意差は認められなかった。

・前後の値を、符号検定と対応のあるt検定により検証したが、いずれも非有意であった(p>0.10)。


図(グラフ)中での記載例

ポイント

*は5%有意、**は1%有意、n.s.(ns)は非有意

* や n.s. の意味を、欄外に記載する

検定方法が明白でない場合は、図の適当な箇所に記載した方が良い

補足

「n.s.」を「ns」とする略記法もしばしば利用されている(雑誌や学会によっては許されない場合がある) 

補足説明

赤枠で囲った表示が、有意性を示すために追加した部分

上の図では、比率の差の検定において、最も一般的に利用されているカイ二乗検定を用いているため、検定方法の表記を省略しているが、これを明記する場合は、例えば欄外の表記を「*: p<0.05 (by chi-square test)」とする(カッコ内は日本語で、カイ二乗検定による、としても良い)

1%有意の場合は、図中の*を**に、欄外の表記を「**:p<0.01」 とする

非有意の場合は、図中の*をn.s.に、欄外の表記を「n.s.: not significant」 とする

「not significant」の部分は、日本語で、「非有意」でも良い

 


表での記載例

ポイント

*は5%有意、**は1%有意、n.s.(ns)は非有意

* や n.s. の意味を欄外に記載する

検定方法が明白でない場合は、表の適当な箇所に利用した方法を記載した方が良い

補足

「n.s.」を「ns」とする略記法もしばしば利用されている(雑誌や学会によっては許されない場合がある) 

補足説明

「n.s.:非有意」は「n.s.: not significant」 としても良い

検定欄は、判定結果ではなく、確率値(p値)を記載することも多い

その場合、上のタイトルは p あるいは p値 に変更した方が良い

なお、タイトルを p あるいは p値 とし、上記のような判定結果を記載しても良い