Date: XXX, 2 XXX 19XX 10:10:04 +0900
From: S.Hashimoto
To: Multiple recipients of
Subject: [CCN] 症例呈示、お助け下さい。

19歳、男性。
昨週 ずっと全身倦怠感を訴えていたが学業、アルバイトなどはこなしていた。金曜日の夜中に頭痛に対し市販のバファリンを服用するも改善せず土曜日、某病院を受診。熱発なく夏かぜという診断にてVoltalene投与にて帰宅。翌日曜日general fatigueさらにすすみ自転車に乗って再受診した。過去に海外旅行、薬物摂取等の特記すべき事項なし。

意識レベル正常、神経学的異常なし
胸部レントゲン:両側肺野4分の3を占める浸潤影
血液ガス FiO2=0.2 PaO2/PaCO2=50/41
血液検査:GOT/GPT=2067/1329、T-Bil=1.3、PT APTT scale over
BUN/cre=63.9/5.4

劇症肝炎を疑いただちに当院ICUに搬送された。

入室時および翌日(月曜日、昨日です)のデータは、挿管後FiO2=1.0にてABGPaO2/PaCO2=64/41
GOT/GPT=1984/1657、胆道系酵素は正常範囲、t-bil 1.5、BS150、WBC22300、CRP6.2、Ht41.2%、Plt123000、BUN/cre=59/3.9、k4.1、CK1355、CKMB76 PT 20秒 FDP 22 (DIC score 5) DOA3micro/kg/min にてCI=3.9,PCWP=14, BP 100/35, PAP 55/13, SvO2 85%
泡沫ピンク色の肺水腫様の分泌物をみとめ胸部レントゲンも肺水腫の所見ECG上IRBBBと中程度ST低下 、心エコーにて異常認めず。
腹部エコーでは肝腫大、肝静脈の拡張と腎杯の拡張を認める。
鎮静下であるが、痙攣等は認められない。項部硬直なし、髄液清、細胞数(11/3)BT 37.5 度

処置 人工呼吸(PS),ドルミカムによる鎮静、循環管理、CVVHD
検査 肝炎マーカー、各種ウイルス抗体(10日程かかります)

激症肝炎or心筋炎or髄膜炎を疑うもいずれも確定診断つかず。診断につきご意見をい
ただければ幸いです。


Date: XX, 2 XXX XXX 15:33:19 +0900
From: K.Nakajima
To: Multiple recipients of
Subject: Re: [CCN] 症例呈示、お助け下

>GOT/GPT=1984/1657、胆道系酵素は正常範囲、t-bil 1.5、BS150、WBC22300、
>CRP6.2、Ht41.2%、Plt123000、BUN/cre=59/3.9、k4.1、CK1355、CKMB76
>PT 20秒 FDP 22 (DIC score 5)
>激症肝炎or心筋炎or髄膜炎を疑うもいずれも確定診断つかず。診断につきご意見をいた
>だければ幸いです。

白血球分画,血液像等の異常はありませんか.
当院では,なかなか診断がつかずに難渋した悪性リンパ腫の症例がありました(肝内SOLがあり肝生検を施行したが確定診断がつかず,胸水細胞診により悪性リンパ腫と診断がついた).血液疾患による救急患者の診断には,苦労することが多いような気がします.

その他,ウイルス感染による肝障害(EBV,CMV等の可能性も?),横紋筋融解症の所見等の有無が気になります.

以上,お送りいただいたメールを読んで思いつくことをとりあえず走り書きしました.
仲間の意見等を尋ねてみて,また何か気付くことがありましたらメールします.


Date: XXX, 02 XXX 19XX 16:02:51 +0900
From: S.Hagihira"
To: Multiple recipients of
Subject: Re: [CCN] 症例呈示、お助け下さ

> 19歳、男性。
> 昨週 ずっと全身倦怠感を訴えていたが学業、アルバイトなどはこなしていた。金曜
> 日の夜中に頭痛に対し市販のバファリンを服用するも改善せず土曜日、某病院を受診
> 。熱発なく夏かぜという診断にてVoltalene投与にて帰宅。翌日曜日general fatigu
> eさらにすすみ自転車に乗って再受診した。過去に海外旅行、薬物摂取等の特記すべ
> き事項なし。

どのようなアルバイトをしていたのでしょうか?



Date: XXX, 2 XXX 19XX 16:32:01 +0900
From: S.Hashimoto
To: Multiple recipients of
Subject: [CCN] 症例呈示、自己フォロー

中島先生いつも早いレスポンスありがとうございます。実はどたばたしていままで時間がなかったのですがメールを出してすぐ思い当たることがあり、そのまま確定診断まで行き着きました。

結果はバルサルバ洞動脈瘤(RC)破裂でした。劇症肝炎という出だしと、SGを入れても値がさほど悪くなかったこと、昨日の心エコーでの専門家の大丈夫!との言葉を信じてしまったのため診断が遅れました。ただし循環器の先生の名誉のため申し添えますがエコー診断が非常にお上手なかたです。
本日の朝、どうしてこんなにSvO2が高い(86)のかと自問自答して、はたと気がついてRA採血してみました。結果は42%, PAは90%でした。 シャント率82% Qp/Qs 5.8とりっぱな左右シャントでした。 もう一度心エコー施行(食道、経胸壁)し心室中隔破裂、卵円孔の開存(肝炎に伴い突然開口することあり)バルサルバ破裂などを疑い診断を進めました。最終診断は約20分で得られましたが描出は非常にむつかしくルーチンの作業ではまずわからないとのコメント得ました。よくよく聞けば収縮期雑音もはっきり聞こえます。エコー画像については

http://www.kpu-m.ac.jp/shourei/shourei4

をご覧下さい。

現在緊急手術中です。修復も終わり心肺から立ち上がる一歩手前です。
バルサルバ破裂により鬱血肝、腎不全、肺水腫をきたした、とあとから考えればすべてつながりました。

>白血球分画,血液像等の異常はありませんか.
WBCは22000と高値でしたが血液像に異常ありませんでした。

>当院では,なかなか診断がつかずに難渋した悪性リンパ腫の症例がありました(肝内
>SOLがあり肝生検を施行したが確定診断がつかず,胸水細胞診により悪性リンパ腫と
>診断がついた).血液疾患による救急患者の診断には,苦労することが多いような気
>がします.
たしかにそうですね。
どうもありがとうございました。


Date: XXX, 2 XX 19XX 18:44:27 +0900
From: ccmcentr-ygc@umin.u-tokyo.ac.jp (Ken NAKASHIMA)
To: Multiple recipients of <icu@koto.kpu-m.ac.jp>
Subject: Re: [CCN] 症例呈示、自己フォ

>結果はバルサルバ洞動脈瘤(RC)破裂でした。

大変,面白い(といっては不謹慎かもしれませんが…)症例をどうもありがとうございました.
意表を突かれた診断で,われわれ一同“エーッ”と驚いています.

当施設は,救急部と集中治療部とを兼ねた施設で,集中治療部門では術後患者と院内の重症患者の治療にあたっています.したがって,院内重症患者というと,基礎疾患については他科で診断がついておりそれが重篤化または合併症により多臓器不全を来
した,という状況での入室が多くなります.
また,ほぼ独立したかたちでCCUが運営されているため,循環器系の救急患者を診断がつく前の段階から診ることも少なくなります.

以上の様な背景から,呈示された様な症例をみるとすぐに,感染,敗血症,肝障害,腎障害といった方向に目が向きがちな気がします.
そういう意味で,今回呈示していただいた症例は,私にとって非常に良い教訓になりました(なるように心がけないと思いました).

どうもありがとうございました.


Date: XXX, 02 XXX 19XX 21:30:14 +0900
From: S.Hagihira
To: Multiple recipients of <icu@koto.kpu-m.ac.jp>
Subject: Re: [CCN] 症例呈示、自己フォ

> 大変,面白い(といっては不謹慎かもしれませんが…)症例をどうもありがとうござ
> いました.
> 意表を突かれた診断で,われわれ一同“エーッ”と驚いています.
>
> 以上の様な背景から,呈示された様な症例をみるとすぐに,感染,敗血症,肝障害,
> 腎障害といった方向に目が向きがちな気がします.
> そういう意味で,今回呈示していただいた症例は,私にとって非常に良い教訓になり
> ました(なるように心がけないと思いました).
>

私も中島先生と同感です。一番に感染症を考えてしまいました。 ^^;)

でもこれ(バルサルバ洞破裂)なら心雑音は聴取できますよね?


Date: XXX, 2 XXX 19XX 22:06:23 +0900
From: S. Hashimoto
To: Multiple recipients of <icu@koto.kpu-m.ac.jp>
Subject: Re: [CCN] 症例呈示、自己フォ

患者さんは8時過ぎに無事帰ってきました。

>でもこれ(バルサルバ洞破裂)なら心雑音は聴取できますよね?

そうなんです。反省してます。昨日も聞こえてました。機能的な雑音にしては大きいなと内科医は思ったそうです。私も劇症肝炎でも機能的に収縮期雑音は聞こえるしなあとすっかりその日の午後の心エコーを信じて疑わなかったのです。手術から帰ってみれば
BP 120/50 (本日朝100/35)
PAP 21/8 (本日朝50/13)
Svo2 76 (本日朝90)

後から考えれば回答は 全部朝の私のデータの中に隠されていました。おかしい!何かあると私は叫んではいたんですが、、言い訳をさせていただくなら水分バランスをかなりマイナス(52kgの人に−5000cc)にして肺水腫の症状も軽減させることにより症状が顕在化したと思ってます。確かに昨日の聴診では肺雑がすごくて、、

術後の患者さんの状態ですが肝トランスアミナーゼも急速に低下、術前は無尿でしたが術後は尿量も確保され経過は順調です。術前水分バランスをまで持っていったので若干ハイポボレミアではあります。


その後、全身状態に問題なく、術後1カ月で退院、社会復帰しました。