卒後研修

京都府立医科大学は、府民のための中心的医療機関であるとともに、国内有数の医育機関であるという自負を持って、医学教育に力を注いでいます。当科でも、長い伝統と歴史の中で、多数の優れた医師・医学教育者を育ててきました。ここでは、これから耳鼻咽喉科医を目指そうとする若い方々に当科での研修の概要を紹介します。興味を持たれた方は、ぜひ一度、教室見学にいらして下さい。

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    研修カリキュラム

    医師免許取得後の研修カリキュラムを紹介します。概略は以下の図のような流れとなりますが、各人の希望に応じて柔軟に対応することができます。

     

    研修内容

    以下に、各コースの研修内容の詳細を紹介します。初期研修の2年間(スーパーローテーション)を終了した後に、後期専門研修をスタートします。大きな目標として、研修5年目で日本耳鼻咽喉科学会の耳鼻咽喉科専門医を取得することがあります。専門医取得後は大学院に進学し基礎研究を学ぶ、もしくは大学病院や関係病院で高度医療を学び、最終的に独立した医学研究・教育者、病院勤務医、もしくは開業医としての技能を確立することを目指します。

    スーパーローテーション(SR)

    本学では初期研修の2年間のうち、初年度に3ヶ月、次年度に6ヶ月の耳鼻咽喉科(ENT)研修を選択することが可能です。この選択は必須ではありませんが、入局後スムーズに耳鼻咽喉科医療に取り組めるよう、選択することをお勧めしています。

    専門医育成

    卒後3〜5年の間は、幅広い症例を経験し耳鼻咽喉科専門医取得にむけて必要な知識と技能を身につけます。

    初年度:原則として大学病院で研修します。その理由として、1)特殊な疾患や難治性の疾患を含めて幅広い症例にあたることができること、2)専門性の高い指導医が揃っていること、3)同一施設で研修の苦労を共にすることで、同期入局者同士の絆を強められること、があります。週1回の症例検討会では担当症例について的確な情報を提示するトレーニングを行い、指導医から診療についての助言を得ることができます。医局会では論文抄読や新規の医療機器に関する解説などを通じて、最新の医療情報を共有します。救急医療にも力を入れていますので、幅広い耳鼻咽喉科救急疾患にあたることができます。また、初年度に少なくとも一つの全国規模の学会に参加し、地方規模の学会では学会発表も行います。

    2年目以降:関係病院の指導医の下で、診療と手術手技の向上を目指します。当大学では京都府下を中心に、多数の症例豊富な関係病院があり、個々人の希望と適性に応じた研修先を選ぶことができます。

    高度医療医師育成

    卒後6年目以降は、希望と適性に応じて大学病院、関係病院、大学院へと進み、さらに専門性の高い医療・研究技能を学びます。本コースにおいては、耳、鼻、喉頭、頭頸部腫瘍の各分野のうち、自身のsubspecialtyを決めて、当該領域における最先端の知識と高度な手術手技を獲得することを目指します。

    大学院:当科での研究も可能ですが、基礎医学の基本的な思考法や最新の研究手法を学ぶ目的で、4年間のうち2年間は学内外の基礎研究室に配属して研究することを勧めています。期間中の収入の確保にも医局として協力します。

    大学病院:大学院に進学しなくとも、一定期間大学病院で高度な医療を指導医の下で経験することが可能です。

    関係病院:関係病院において指導的な立場で診療にあたります。高度な手術に関しては上級指導医の協力下に執刀し、技能を学ぶことができます。また、希望があれば、地方の病院で地域医療に従事することも可能です。

    研修目標

    当科の専門医育成コースにおける研修目標を紹介します。当科では専門医取得までに、以下に述べる項目を全て修得することを目指しています。指導医は定期的に各人の到達度を評価し、修得が不十分な項目について充分なサポートができるよう配慮しています。

    一般的目標

    1. 一般的な耳鼻咽喉科疾患の治療・診断に必要な知識と技能を身につける。
    2. 耳、鼻、喉頭、頭頸部腫瘍のうち、特に自分が専門とする分野に関して最先端の知識と技能を身につける。
    3. 常に新しい知識や技能を取得し、自身の診療を分析・評価して、より良い医療を目指す姿勢を身につける。
    4. 患者とその家族の社会的・心理的背景を理解して適切な対応と助言ができる。
    5. 他科やコメディカルと潤滑に連携がとれる。
    6. 後進の医師を指導することができる。

    外来診療における到達目標

    1. 耳鼻咽喉科領域で一般的に行われる理学的検査、内視鏡検査、超音波検査、各種聴力検査など以下の自科検査を行うことができる。
      • 喉頭内視鏡検査、鼻・副鼻腔内視鏡検査、純音聴力検査、語音聴力検査、自記オージオメトリー、ティンパノメトリー、アブミ骨筋反射、DPOAE、ABR、COR、ASSR、眼振検査、立ち直り反射検査、カロリックテスト、音声機能検査、頸部超音波検査、電気味覚検査、静脈性嗅覚検査
    2. 自科検査に加えて必要な放射線学的検査、血液生化学検査、生理学的検査を依頼し、結果を的確に評価して正確な確定診断を下すことができる。
    3. 耳鼻咽喉科領域疾患に対する薬物療法に精通し、急性期および慢性期疾患に対して最適な内服治療を行うことができる。
    4. 耳、鼻、咽頭、喉頭、頸部について以下の外科的処置を行うことができる。
      • 耳垢栓塞除去、鼓膜切開、耳管通気、鼻出血止血、扁桃周囲膿瘍切開排膿、口腔・咽頭生検、リンパ節生検、鼻骨骨折整復
    5. 一般的な耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術(手術における到達目標参照)に関して手術の利得とリスクを評価し、手術適応を判断することができる。
    6. 耳鼻咽喉科領域の救急診療に対応することができる。
    7. 医療保険制度を理解して医療資源の有効利用を考えることができる。
    8. 社会保障制度を理解して個々の患者に必要な助言ができる。

    手術および入院治療に関する到達目標

    1. 全ての通常リスク症例の周術期の全身管理ができ、ハイリスク症例については必要に応じて他科と連携して全身管理ができる。
    2. 術後合併症を理解し、創部処置を含めた周術期管理が確実にできる。
    3. 一般的な耳鼻咽喉科手術について術者として執刀することができる。
      • 鼓膜チューブ留置術
      • 内視鏡下鼻副鼻腔根本手術
      • 下鼻甲介切除術
      • 鼻中隔矯正術
      • 声帯ポリープ切除術
      • 口蓋扁桃摘出術
      • アデノイド切除術
      • 気管切開術
      • 顎下腺摘出術
      • 耳下腺浅葉切除術
      • 甲状腺切除術
      • 頸部膿瘍切開術
      • 先天性耳瘻孔摘出術
      • 眼窩吹き抜け骨折整復術
    4. 高度な耳鼻咽喉科手術について、手術適応と手術手順を理解し、助手として参加することができる。特に自身の専門領域の手術は術者として執刀することができる。
      • 頸部郭清術
      • 鼓室形成術
      • アブミ骨切除術
      • 顔面神経減荷術
      • 側頭骨悪性腫瘍手術
      • 副咽頭間隙腫瘍摘出術
      • 皮弁再建を伴う頭頸部悪性腫瘍手術
      • 上顎全摘術
      • 咽喉食摘術
      • 喉頭全摘術
      • 喉頭形成術
      • 嚥下機能改善手術
    5. 頭頸部悪性腫瘍に対する化学療法および放射線療法の適応とプロトコールに習熟し、指導医の下で行うことができる。

    学位取得について

    当科の医局員は常に、臨床医であるとともに医学研究者であることを心がけています。これは、大学病院として現状の臨床技術だけに満足せず、さらに高度な治療法を模索する姿勢が望まれるからでもありますが、もっと大切なことは、医師として息長く仕事を続けていく上で、研究は大きな励みと楽しみになると考えるからです。

    このような考え方の下で、できる限り多くの医師が研究のトレーニングをうけられるよう、大学院に進学して学位をとることを推奨しています。大学院への進学時期は、概ね耳鼻咽喉科専門医を取得できる5年目をめどとしています。大学院生は本学を初めとする国内外の基礎研究室に配属し、世界的に注目される研究成果も多数挙げています(業績一覧はこちら)。学位取得後も当科研究室で研究が続けられる設備を整えており、学外の関係病院に勤務する医師も利用することができます。

    取得可能な専門医

    日本耳鼻咽喉科学会:耳鼻咽喉科専門医

    条件)

    1. 医師免許あり。
    2. 3年以上日耳鼻正会員。
    3. 耳鼻咽喉科専門医研修施設での臨床研修終了後、4年以上の専門領域研修(そのうち3年以上は専門医研修施設である必要がある)を修了。

    →研修医2年プラス4年の専門すなわちトータル6年の経験が必要。7年目に受験資格。

    日本気管食道科学会:気管食道科専門医

    条件)

    1. 気食会員歴引き続き5年以上
    2. (耳鼻科医については)申請時日耳鼻専門医資格を持つこと。
    3. 認定研修施設で通算5年以上履修。
    4. 学会の単位取得、評議員1名の推薦、試験合格。

    日本頭頸部外科学会:頭頸部がん専門医

    条件)

    1. 日本国の医師免許を有すること。
    2. 日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医であること。
    3. 3年以上頭頸部外科学会正会員であること。
    4. 過去5年間に所定の学術集会に5 回以上参加していること。
    5. 講習会受講の上、試験の合格。

    がん治療認定医

    条件)

    1. 医師免許あり。
    2. 所属基本領域の学会(耳鼻科は日耳鼻)の専門医の資格を有する
    3. 認定研修施設で研修カリキュラムに基づくがん治療研修(研修医時代を除く2年間)を修了。
    4. 過去4年に学会発表、論文発表がなされていること。
    5. セミナーに出席の上試験合格。

    日本アレルギー学会:社団法人日本アレルギー学会認定専門医

    条件)

    1. 医師免許あり。
    2. 認定時に引き続き5年以上会員
    3. 基盤学会(耳鼻科は日耳鼻)の専門医の資格を持っている
    4. 通算6年以上の臨床研修歴そのうち3年以上は認定施設で指導医あるいは専門医の下での研修をうける。
    5. 学会の単位取得、診療実績報告、試験の合格。

    補聴器適合判定医師

    条件)

    1. 医師免許あり。
    2. 身体障害者更生相談所・更生援護施設又は病院等において補聴器適合判定に従事する耳鼻咽喉科医師。
    3. 国立リハビリテーションセンターで行われる補聴器適合判定医師研修会を受講する。