日本アルコール・アディクション医学会

【日本依存神経精神科学会の経緯】

日本依存神経精神科学会は、日本アルコール精神医学会と、ニコチン・薬物依存研究フォーラムが対等に合併して2012年の9月に生まれた新しい学会です。
日本アルコール精神医学会は、アルコールに関連する精神医学的な問題を研究する学会として、「臨床アルコール医学研究会」を母体として1994年に設立されました。
一方、ニコチン・薬物依存研究フォーラムは、ニコチンその他の薬物依存について研究する学会として1998年に設立されました。
両学会はこれまで、お互いに活発な研究活動や学術総会を独立に、また時に共同して行ってきました。
しかし、依存の研究と臨床をめぐる世界の情勢は極めて流動的であり、研究者や臨床家の力を結集することが必要です。
このように考えて、これら二つの学会は周到な準備のもとに一つの学会として生まれ変わりました。
本学会は、アルコール、ニコチン、その他の薬物、ギャンブルなどいろいろな対象への依存を精神医学、神経科学、薬理学、心理学などさまざまな立場から研究し、より良い社会支援のあり方をさぐる、現在のところ日本で唯一の学会です。



【日本アルコール精神医学会設立の歴史】

● 臨床アルコール精神医学研究会の立ち上げ

∼臨床アルコール医学研究最近の進歩`89∼`90序文より∼

アルコール問題は、今や都市と地方を問わず、あらゆる領域で重大な課題になってきている。 精神医学の分野でも決してその例外ではない。
しかし、事の重大性にもかかわらず、精神医学および精神医療が、アルコール関連問題として、眞摯な努力を続けてきたかどうかということになると、はなはだ心もとないものがある。
精神医学の授業では、精神病や神経症に対する講義時間はたっぷりとっても、アルコール精神障害に関するそれはささやかなものであるし、医学部や医科大学では、これまでそれぞれの疾患に対する専門医の養成に努力はしてきたものの、アルコール専門医と言える人材を輩出している機関はほとんど存在しない。
それにもかかわらず、今日の精神医学において、アルコール関連障害は決して避けて通れないのが現状である。

確かに、これまでにも、アルコール依存者の研究成果を発表する場はないではなかった。 そしてまた、精神医療の場において指導的な立場でアルコール依存症の治療に日夜専念している精神科医やコメジカルの人びともいないではない。
しかし、毎年激増するこの種の患者に対応するには、あまりにも微力である。

このような現実に直面し、われわれ有志は、地域の専門病院で活躍する人びとと協力し合って、地道な研究と実践の成果を語り合い、その努力を全国的なレベルにまで拡げることはできないかと考えた。

われわれの集いは、 「臨床アルコール医学研究会」 と称し、これまでに、研究会を2度行った。第1回は1989年7月1 日に浜松市福祉文化会館で、シンポジウム形式も研究会が行われた(会長:大原健士郎)。第2回は1990年7月6∼7日に久留米市の萃香園ホテルで行われた(会長:中沢洋一)。
第2回目からは一般演題も募集され、活発な討論が行われた。 本書はその記録である。 この研究会は、やがては学会にまで発展する予定である。

われわれの堅実な努力が、日を追うごとに開花し、近い将来、大きく結実し、この領域における精神医学の発展と、悩める患者たちの救済に、いささかたりとも寄与することができるようになることを心より祈念したいと思う。

1991年5月5日

編者識(大原健士朗、中沢洋一)



臨床アルコール医学研究会 (第1回、第2回世話人)
大原健士郎 (浜松医大・精神神経科) (代表世話人)
安部弘彦 (回生病院)
有川勝嘉 (筑水会病院)
小片 寛 (信州大・医・精神科)
小片 基 (札幌医大・衛生短大)
小椋 力 (琉球大・医・精神神経科)
加藤伸勝 (都立松沢病院)
小宮山徳太郎 (国立精神神経センター・武蔵病院)
斉藤 学 (東京都精神医学総合研究所)
洲脇 寛 (香川医大・心理学科)
十束支朗 (山形大・医・神経精神科)
中沢洋一 (久留米大・医・神経精神科)
宮里勝政 (浜松医大・神経精神科)
向笠 寛 (大貞病院)
山内俊雄 (埼玉医大・神経精神科)
山岡 淳 (日本大・文理学部・心理学科)



臨床アルコール医学研究最近の進歩`89 ~`90あとがきより ~

研究の進歩に伴い、学問は細分化されていく。 アルコールに関する研究も基礎医学、臨床医学、心理学、社会学にとどまらず多くの領域にわたるようになっている。
研究領域が多岐にわたるほど一同に会しての意見交換も重要であり、またそれが充実するためには個々の領域での時間をかけた討議による深まりも欠かせない。
臨床アルコール医学と銘うった本研究会は後者に根ざしたものといえ、1昨年浜松での 「アルコールと脳」 、 「アルコール代謝と臓器障害」 、 「アルコール専門医制度を考える」 という3つのシンポジウムにより発足した。
そして、第2回臨床アルコール医学研究会は、中沢洋一教授(久留米大・精神神経科)を会長として平成2年7月6日(金)7日(土)の両日、久留米市萃香園ホテルで開催された。
2回目では規模が広がり、特別講演、症例検討、シンポジウム、一般講演と2日にわたり活発に繰り広げられた。
本研究会は今後も開催され、いずれ学会になる予定である。
本会の趣旨に賛同頂き、世話人の方々も別記のように充実している。

本研究会での報告が臨床的価値が高いことから、本にして発行したいとの考えが当初よりあった。
そして此の度、この2年間の報告をまとめ 「臨床アルコール医学研究最近進歩b80∼`90 (編集:大原健士郎浜松医大教授、中沢洋一久留米大教授) として発行することになった。
第1回研究会シンポジウムⅢ 「アルコール専門医制度を考える」 は、臨床精神医学19(3)1990に掲載されたものを国際医書出版の許可を得て転載した。
ご協力頂いた執筆者の方々、および関係各位に、厚く御礼申し上げます。

臨床アルコール医学研究会事務局

浜松医大精神神経科内

宮里勝政



● 日本アルコール精神医学会の立ちあげ

~日本アルコール精神医学雑誌、第1巻第1号 (1994年7月) 編集後記より~

4年間続いた「アルコール医学研究会」から発展的に「日本アルコール精神医学会」への設立へと結びついたのが昨年、平成5年のこと。それを契機として 「日本アルコール精神医学雑誌」 の発刊が企画された。

「アルコール医学研究会」 当時から、発表演題すべての報告集を作っており、また 「学会」 になってからもニュースレターの発行を行っていたので、雑誌刊行はきわめて自然な成り行きであった。

また、この学会に集まる人たちも、精神科医だけでなくいわゆる学術的集まりであるので、自ずから情報交換の手段としての機関誌発行の要望も背景にあった。

このような事情を反映して、創刊号の原稿の集まりも良く、一部は次号に回さざるを得なくなったほどである。

第5回学会のシンポジウムの演者からも原稿を頂戴したが、それをみても日常の臨床の中でアルコールの関連している問題がたくさん存在していることが分かる。
その事もまた、アルコール精神医学の雑誌が求められる理由の一つであろう。

また、本号の座談会の中でも指摘されているように、アルコール精神医学に関連する論文が一つの雑誌にすべて包含されているということは大変重宝なことでもあり、同時に、関連論文は散逸しないようにこの雑誌に掲載するように努めるべきだということにもなる。

アルコールにまつわるさまざまな問題を本誌に投稿し、それをまた、お互いの勉強の糧にできるようにしたいものだと思う。 その意味でも会員の皆さんの積極的な参加を望んでいる。

最後に、雑誌の刊行は賛助会員の援助によるところが大きい。 ここに感謝申し上げる次第である。

(T・Y)



日本アルコール精神医学会 平成6年5月現在

(理事10名、監事2名、編集委員5名、評議員82名 ※印賛助会員25名含む)
理事長 中沢洋一 (久留米大・医・精神神経科)
理 事 井川玄朗 (奈良県立医大・精神科)
遠藤俊吉 (日本医大・精神科)
大原健士郎 (浜松医大・精神科)
小阪憲司 (横浜市大・医・精神科)
堺 俊明 (大阪医大・神経精神科)
洲脇 寛 (香川医大・精神神経科)
十束支朗 (山形大・医・精神神経科)
菱川泰夫 (秋田大・医・精神科)
山内俊雄 (埼玉医大・神経精神科)
監 事 赤井淳一郎 (杏林大・保健学部)
小片 寛 (信州大・医・精神科)
編集委員長 山内俊雄 (埼玉医大・神経精神科)
編集委員 赤井淳一郎 (杏林大・保健学部)
洲脇 寛 (香川医大・精神神経科)
宮里勝政 (浜松医大・精神科)
向笠広和 (聖マリア病院・精神科)



【ニコチン・薬物依存研究フォーラム】

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