京都府立医科大学での小児がん治療

小児がん治療について

小児がん拠点病院に指定されました。(全国第2位)

 小児がん拠点病院に申請のあった全国37施設のうち、9人の評価者が総合的に採点し、2013年1月31日京都府立医科大学は全国15施設中第2位で選定されました。
要件は小児がん診療、研修、研究など多岐にわたり(下記に一部を示します。)全てに高得点の評価を頂きました。
 小児がん患者と家族が安心して適切な医療や支援を受けられる環境をさらに充実し、今後ますます小児がん治療の拠点としての役割を果たしていきます。

  1. 集学的治療、難治再発症例と思春期がんへの対応
  2. 集約化と地域連携

  3. 緩和ケア

  4. 小児がん研修教育

  5. 臨床研究

  6. 患者の養育環境

  7. がん相談支援

  8. 長期フォローアップ

スタッフ紹介

小児がん治療チームのスタッフをご紹介致します。

診療科 氏名 役職 認定医、専門医資格など
小児科 細井 創 教授 日本小児科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本小児血液・がん学会暫定指導医、日本がん検診診断学会認定医
石田宏之 特任准教授 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医、骨髄移植財団移植調整医師
家原知子 准教授 日本小児科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本がん治療認定機構暫定教育医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本がん検診診断学会認定医
今村俊彦 講師 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医、骨髄移植財団移植調整医師
三沢あき子 併任講師 日本小児科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本がん治療認定機構暫定教育医、日本血液学会血液専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医
土屋邦彦 併任講師 日本小児科学会専門医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
大曽根眞也 学内講師 日本小児科学会専門医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、骨髄移植財団移植調整医師
柳生茂希 助教 日本小児科学会専門医・指導医、日本血液学会血液専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
宮地 充 助教 日本小児科学会専門医・指導医、日本血液学会血液専門医、日本小児血液・がん学会専門医・指導医、日本造血細胞移植学会造血細胞移植認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
坂本謙一 助教 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医・指導医
加納 原 特任助教 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医
菊地 顕 特任助教 日本小児科学会専門医
友安千紘 大学院生 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医
金山拓誉 大学院生 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医
冨井敏宏 大学院生 日本小児科学会専門医
中川憲夫 大学院生 日本小児科学会専門医
浅井大介 研修員 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医
大内一孝 研修員 日本小児科学会専門医
後藤幸子 研修員 日本小児科学会専門医、日本血液学会血液専門医
小児外科 田尻達郎 教授 日本がん治療認定医機構暫定教育医、小児がん認定外科医、日本小児外科学会指導医
木村 修 特任教授 日本小児外科学会指導医
文野誠久 学内講師 小児がん認定外科医,日本小児外科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
東 真弓 助教
整形外科 白井寿治 准教授 日本整形外科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医
寺内 竜 講師 日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本リウマチ学会専門医
脳神経外科 橋本直哉 教授 脳神経外科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
笹島浩泰 病院教授 日本脳神経外科学会専門医
立澤和典 講師 日本脳神経外科学会専門医
山中 巧 学内講師 日本脳神経外科学会専門医
耳鼻咽喉科 中野 宏 講師 日本耳鼻咽喉科学会専門医、頭頸部癌専門医制度専門医、日本がん治療認定医機構認定医
泌尿器科 本郷文弥 講師 日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医
放射線科 山崎秀哉 准教授 日本医学放射線学会放射線治療専門医
鈴木 弦 講師 日本医学放射線学会放射線治療専門医
西村元喜 助教 日本医学放射線学会放射線診断専門医、検診マンモグラフィ読影認定医
相部則博 助教 日本医学放射線学会放射線治療専門医
病院病理部 小西英一 病院教授 日本病理学会専門医
疼痛緩和医療部 細川豊史 学内教授 緩和ケア暫定指導医、ペインクリニック専門医、麻酔科指導医、東洋医学専門医
権 哲 特任助教 ペインクリニック専門医、麻酔科専門医
看護師・社会福祉士 森田直子
臨床心理士 里見志穂

キャンサーボード(多診療科による集学的治療カンファレンス)

 小児がんは、複数の診療科が互いに情報を共有し、治療方針を決定したうえで集学的治療を行う必要があります。当施設では、小児がん患者の治療方針決定に当たり、キャンサーボード(多診療科による集学的治療カンファレンス)を必ず開催し、各科の専門集団による診断、治療方針決定を経た上で、治療が行われています。
 当施設では、平成12年3月からキャンサーボートを開始し、平成26年~28年の3年間では合計153回のキャンサーボードを開催しました。患者さまの対象年齢は生後0日から65歳までと、小児がんのみならず成人に発生した小児がん症例も含まれています。
 対象疾患は、網膜芽腫、神経芽腫、腎芽腫、腎明細胞肉腫、悪性ラブドイド様腫瘍、肝芽腫、肝血管内皮腫、肝未分化肉腫、横紋筋肉腫、骨肉種、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、胚細胞性腫瘍、副腎皮質がん、悪性リンパ腫、脳腫瘍(髄芽腫、胚腫、脳幹グリオーマ、星細胞腫群)と多岐にわたっており、これらに対して多方面からの検討を行った上で最善の治療方針を決定するために、参加診療科も、小児がん治療チームのみならず、小児科、小児外科、小児心臓血管外科、放射線科、脳神経外科、眼科、耳鼻咽喉科、形成外科、呼吸器外科、呼吸器内科、消化器内科、消化器外科、泌尿器科、産婦人科、血液内科、麻酔科、移植一般外科、皮膚科、病院病理部の各専門家集団が関わっています。

診療実績

 2013年から2016年までに当施設で診断、治療を行った小児がん新規発症患者の内訳は以下のとおりです。
 血液腫瘍、固形腫瘍をはじめ、稀有な小児がんにいたるまで、多種の患者さまを治療させていただいております。また、小児患者さまはもちろんのこと、思春期、若年成人患者さまも多数治療させていただいており、必要に応じて、成人の診療科と連携をとりながら治療させていただいております。
 小児がんは小児科のみならず、他の診療科との連携による集学的治療が非常に重要です。そのため治療方針決定の際には、すべての関連する診療科による合同カンファレンス(キャンサーボード)を開催し、最善の治療が提供できるように努めています。

1. 新規入院小児がん患者数

(再発、外来フォローは除く。2013年から2016年、主な疾患)

  2013 2014 2015 2016
急性リンパ性白血病 3 6 4 3
急性骨髄性白血病 2 2 3 4
悪性リンパ腫 1 1 0 0
ランゲルハンス細胞組織球症 2 1 0 1
神経芽腫 1 1 2 4
横紋筋肉腫 2 6 0 3
肝芽腫 2 1 0 0
腎芽腫・腎原発腫瘍 2 1 0 1
脳腫瘍 2 2 2 6
骨肉腫 3 2 2 1
ユーイング肉腫 0 0 0 1
網膜芽腫 2 2 1 1
胚細胞腫瘍 0 0 1 1
その他の悪性固形腫瘍 2 3 2 0
合計 24 28 17 26

2. 紹介元の都道府県

 当施設は京都市の中心部にありますが、京都府下、近畿圏内を中心に多くの地域から小児がん患者さまをご紹介いただいております。当施設は近畿圏内に多くの関連施設をもち、スムーズな連携を取ることが可能です。患者さまの治療が終了した際も、当施設の指導のもと、地域の関連施設で引き続き検診をうけていただくことができます。

紹介元都道府県 入院患者数(2013~2016年)
京都府 67
滋賀県 6
岐阜県 5
大阪府 4
兵庫県 2
北海道 1
長野県 1
千葉県 1
長崎県 1
米国 1
 合計 89

3. 新規入院患者の年齢分布

 15歳未満の小児はもちろんのこと、思春期や若年成人(15歳以上)に発生した小児がん患者さまも多数診療しております。思春期、若年成人ならではの治療上の問題点に対し、小児科を中心として多数の診療科が共同で治療に当たっています。

年齢 新規入院患者数(2013~2016年)
0歳 13
1歳 8
2歳 8
3歳 4
4歳 7
5歳 1
6歳 4
7歳 6
8歳 2
9歳 2
10歳 2
11歳 9
12歳 4
13歳 8
14歳 4
15歳 4
16歳 3
17歳 1
18歳 0
19歳 2
20歳以上 3
合計 95

小児がんに対する新しい取り組みについて

臨床研究

 当施設では、全国の小児がん疾患の専門施設と連携して多施設共同研究(臨床試験)に参加し、診療実績をあげております。多施設共同研究とは、小児がんのようにまだ完全に有効な治療法が確立されていないような希少疾患に対し、施設ごとに異なる治療を行うのではなく、様々な診断、治療を一定の基準で統一し、定められた治療を行うことで、その疾患の治療成績や問題点、改善点を全国的に調査し、新しい治療法の開発につなげていくという試みです。
 患者さまは、これらの臨床試験に参加することで、その時点で最善と考えられる治療を受けることが可能となります。また、各臨床試験に設けられている中央診断システムを利用することができ、希少疾患であっても専門家の診断をあおぐことができます。詳細に規定された治療計画書のもとに安全に治療は遂行され、治療経過の情報が全国で共有されることにより、予期せぬ副作用や健康被害を防ぐことが可能となります。これらの治療情報を全国で集計し、解析することで、小児がんに対してよりよい治療法が確立されます。私たちは、これらの臨床試験に参加することで、日本の小児がん患者の治療成績が向上に寄与していきたいと考えています。

 当施設では、現在以下の臨床試験に参加しており、いくつかの臨床試験では主任研究者を務めております。臨床試験への参加は完全に患者さまの自由でありますが、患者さまの状況に合わせて最善の治療が提供できるように、治療前に十分な説明をさせていただき、治療方針を決定していきたいと考えています。

基礎研究

 当施設では、現在の医療ではまだ完全に治癒させることができないような難治性の小児がんに対しても、新規の診断方法、治療方法を開発すべく、さまざまな基礎研究を行っています。

 最新の実験機器を備えた当施設内の研究室、大学中央研究室を利用することで、小児がんの新規診断法、治療法を当施設から世界中に発信すべく、日々努力しております。 詳しくは、下記のリンクをご参照ください。

トランスレーショナルリサーチ研究

 トランスレーショナルリサーチは「橋渡し研究」と訳されますが、研究者がおこなってきた基礎研究の結果をもとに、新たな疾患の予防、診断、治療のために人への臨床応用を研究する分野であり、新しい医療を開発していくための大切な分野と言えます。当施設でも、基礎研究としておこなってきた研究結果を、臨床に応用するべく様々な努力を行っており、小児がんの臨床に実際に応用しております。以下に、当施設で行ったトランスレーショナルリサーチ研究のなかで、実際に臨床応用しつつある研究結果の一部をご紹介します。

疫学研究

 小児がんにおける疫学研究とは、小児がん患者を対象とした様々な調査を行い、小児がんの発生率、治療経過やそれを左右する因子などを明らかにする研究です。当施設では、以前よりいくつかの多施設共同研究の主任研究者や事務局を務めてきましたことから、小児がんに対する疫学研究も盛んに行われています。全国から集められた小児がん患者さまの臨床情報をもとに、日本での小児がん治療の実態が明らかになり、これを解析することで次世代のより良い小児がん治療の開発への糸口となることが期待されます。

既存検体を用いた臨床研究について

 これまでに当科で小児がんの治療を受けられた患者さんの中で、検査、手術時に、採取された余剰検体の使用に同意いただいた患者さんの腫瘍組織、血清および、診療情報を用いて小児がん診断法や新規の治療法を開発する以下の研究を進めています。

小児がんに対する造血細胞移植について

 小児医療センターには、2つのクラス100の移植部屋が設置され、小児の血液専門医を中心とした移植担当チームが、血液疾患の治療のため血縁者・非血縁者間(骨髄バンクからの移植)造血細胞移植を行っています。小児科・疼痛緩和ケア・歯科など多数科の医師、看護師、薬剤師、その他の多種の医療スタッフが集まりカンファレンスを開き、治療方針を検討・共有しています。治療成績だけでなくお子さんたちに優しいQOLの向上も伴った集学的な治療を目指しています。
 対象とする疾患は、悪性疾患(白血病、骨髄異形成症候群など)から良性疾患(再生不良性貧血、原発性免疫不全症候群など)までさまざまです。病型・病期・患者様の状態・体重などを考慮して、移植の適応・最適な時期・移植ソースを決めていきます。ドナーはHLA一致(または1抗原不一致)血縁者が優先となりますが、血縁者にドナーが見つからない場合には、非血縁者(骨髄バンク、臍帯血バンク)から移植を行うことになります。
 白血病の移植に際しては、微小残存病変を評価していくことも大切です。当科では、特異的な染色体の転座や遺伝子異常をターゲットとした定量PCR、フローサイトメトリー(特徴的な表面マーカーや、ドナー/レシピエントの異なるHLA抗原を評価(HLA-フロー法))などを臨床に用いています。
 また当科では、難治性白血病に対しては、通常の移植以外にHLAが半分のみ一致した血縁間骨髄移植(G-CSF刺激HLA半合致骨髄移植)を積極的に行っています。現在のところ比較的良い成績が得られていますが、この治療法の評価は,まだ十分定まった段階ではありません。