京都府立医科大学での小児がん治療

小児がんとは?

血球貪食症候群(HPS、HLH)

原因は?

 あまり聞きなれない名称ですが、人間の体内にはマクロファージや組織球という、白血球の仲間であり主に免疫機能に関わる細胞があります。本疾患は、これらの細胞が何らかの要因によって、異常にその働きが活性化されることで、血液の成分である血球(白血球、赤血球、血小板)を食べてしまう(貪食(どんしょく)といいます。)状態を引き起こす病気です。比較的まれな疾患といえ、国内での発症者は数百人程度、年間発症者は数十人程度です。
 この異常を引き起こす原因によって、本疾患は一次性(遺伝性)と二次性に大別されます。一次性とは、生まれつき白血球(ここでは主にリンパ球です)の働きを調節する遺伝子に異常があるため、異常な免疫反応を起こすものであり、家族性血球貪食性リンパ組織球症とよばれます。二次性の原因はさまざまで、感染症(ウイルス・細菌・原虫・真菌)や悪性腫瘍(主に悪性リンパ腫)、自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデスなど)といった基礎疾患をもち、その結果、異常な免疫反応が引き起こされ、本疾患を発症するものです。

症状は?

 発熱や倦怠感、脾臓・肝臓の腫大やリンパ節腫脹、黄疸、皮疹、中枢神経症状(けいれん・意識障害)などがみられます。

診断は?

 血液検査での異常(血球減少・高フェリチン血症・高LDH血症・リンパ球機能異常など)や骨髄検査(実際に血球が貪食されている様子がわかる)から診断します。症状からは一次性か二次性かの診断はつかず、一次性を診断する場合は遺伝子・蛋白解析を行い、二次性を診断する場合は感染症の有無の確認や、その他、発症の要因になりうる基礎疾患がないかどうかも詳しく検査していきます。

治療は?

 一次性(遺伝性)である家族性血球貪食性リンパ組織球症の場合は、免疫抑制剤や抗がん剤を用いた治療が行われますが、現時点では造血幹細胞移植が唯一の治癒可能な治療です。移植治療成績では3年生存率は約60%です。二次性の場合は、発症の要因となった基礎疾患に対する治療と同時に、異常な免疫反応を制御するため、ステロイドやガンマグロブリン製剤を用いて治療を行います。症状が難治・持続性であったり、再燃を繰り返す場合は、一次性(遺伝性)と同様の治療方法が選択されます。