京都府立医科大学での小児がん治療

小児がん専門医を目指す若手医師の育成

小児血液・がん学会専門医取得のための研修プログラム

 当院は、日本小児血液・がん学会による小児血液・がん専門医研修施設の施設認定をうけており、小児血液・腫瘍性疾患を専門とする優れた医師を育成し、わが国における小児血液・腫瘍性疾患に対する医療の質の更なる向上を目的として、若手医師育成のための研修プログラムを提供しています。

 この研修プログラムの終了時には、小児血液・がん学会の専門医習得に必要な知識や技術を習得することが可能です。

当院での小児血液・がん専門医研修プログラムの概要

概要

研修施設名 京都府立医科大学医学部附属病院小児科
運用期間 平成28年度~平成32年度
指導責任者 細井 創
作成 平成23年7月10日

研修対象者

小児血液・がん専門医を志す小児科医

研修期間

原則として36か月間

一般目標

 小児血液疾患および小児がんの子どもたちに質の高い専門医療を提供するために、小児血液疾患および小児がん領域に関する幅広い知識と十分な経験および技能を習得した医師を育成する。

指導医

研修責任者 細井 創
小児科 家原知子(指導医・がん治療認定医)、石田宏之(暫定指導医・血液指導医・造血細胞移植認定医)、
三沢あき子(血液専門医・がん薬物療法専門医・がん治療認定医)、
今村俊彦(指導医・血液指導医・造血細胞移植認定医)、土屋邦彦(指導医・がん治療認定医)、
大曽根眞也(指導医・血液指導医・造血細胞移植認定医・がん治療認定医)、
柳生茂希(血液専門医・がん治療医認定医)、
宮地 充(指導医・血液専門医・がん治療認定医・造血細胞移植認定医)
小児外科 田尻達郎(認定外科医・小児外科指導医・がん治療認定医)、
木村 修(小児外科指導医)、文野誠久(認定外科医・小児外科指導医・がん治療認定医)、
他3名(小児外科専門医)
放射線科 山崎秀哉(放射線治療専門医)、鈴木 弦(放射線治療専門医)、
相部則博(放射線治療専門医)、他1名(放射線治療専門医)、
山田 恵(放射線診断専門医)、他13名(放射線診断専門医)
病理科 小西英一(病理専門医)、他4名(病理専門医)

研修場所

主たる研修施設は京都府立医科大学医学部附属病院であり、以下の要件を満たしている。

  1. 造血器腫瘍・固形腫瘍(骨肉腫・脳腫瘍を含む)・非腫瘍性血液疾患の診療

  2. 小児外科治療(小児外科専門医が常勤で在籍)

  3. 放射線治療(放射線治療専門医が常勤で在籍)

  4. 病理診断(病理専門医が常勤で在籍)診療協力施設として京都市立病院、松下記念病院があり、以下の要件につき協力して研修を行う。

  5. 造血幹細胞移植(骨髄移植推進財団認定施設およびさい帯血バンクネットワーク登録施設)

行動目標

1)下記の研修単元大項目およびこれに関連して別紙「日本小児血液・がん学会専門医
  1. 血液学総論

  2. 赤血球

  3. 白血球

  4. 免疫異常

  5. 血小板

  6. 凝固

  7. 腫瘍学総論

  8. 造血器腫瘍

  9. 固形腫瘍

  10. 脳脊髄腫瘍

  11. 治療学総論

  12. 輸血療法

  13. 細胞療法

  14. 緩和医療

  15. 晩期障害長期合併症

  16. 倫理・研究

2)以下の資格を取得していない場合には研修終了までに取得する。
  1. 日本小児科学会小児科専門医

  2. 日本がん治療認定医機構がん治療認定医または日本血液学会血液専門医

学習法略(臨床経験・知識の習得・習慣の習得)

1)指導医のもとで診療チームの一員として下記に挙げる小児血液疾患および小児がん各疾患の診断・治療を経験する。
  1. 造血器腫瘍:急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫

  2. 固形腫瘍:神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、胚細胞腫瘍、骨軟部腫瘍(横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、PNET、骨肉腫)、脳腫瘍

  3. 非腫瘍性血液疾患:赤血球疾患(鉄欠乏性貧血を除く)、非腫瘍性白血球系疾患、血小板異常、凝固障害

2)上記1)に挙げる各疾患の診断・治療の経験に際しては、下記に挙げる病態のどれかに偏ることなく、幅広く各病態を経験するように努める。
  1. 腫瘍性疾患(造血器腫瘍および固形腫瘍)の場合には、

    1) 初発未治療患者の診断と治療を行った症例
    2) 再発患者の再発直後の入院治療を行った症例
    3) 終末期の症例

  2. 非腫瘍性血液疾患(先天性・後天性凝固障害、鉄欠乏性貧血を除く赤血球疾患、非腫瘍性白血球系疾患、血小板異常、輸血合併症、免疫不全症など)の場合には、

    1) 初発未治療患者の診断と治療を行った症例(入院・外来を問わず)
    2) 合併症治療や特殊治療を行った症例(感染症のための入院、造血幹細胞移植、出血性疾患では手術や外科的治療の止血管理のための入院、免疫学的治療など特殊な治療での入院、外来での止血管理など)

3)指導医のもとで診療チームの一員として造血幹細胞移植に関わる下記の診断・治療を経験する。
  1. 同種造血幹細胞移植

    1) 同種造血幹細胞移植治療
    2) 同種造血幹細胞移植ドナーからの骨髄採取と細胞処理

  2. 自家造血幹細胞移植

    1) 自家造血幹細胞移植治療
    2) 自家造血幹細胞移植のための造血幹細胞採取と保存

4)上記1)~3)に述べた経験症例については、専門医申請に必要な個別症例票を15例記載する必要があるため、以下の10例は必ず経験する。
  1. 造血器腫瘍3例:急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫の中からいずれかを3例経験する。

  2. 固形腫瘍3例:神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、胚細胞腫瘍、骨軟部腫瘍、脳腫瘍の中からいずれかを3例経験する。

  3. 非腫瘍性血液疾患3例:赤血球疾患(鉄欠乏性貧血を除く)、非腫瘍性白血球系疾患、血小板異常、凝固異常の中からいずれかを3例経験する。

  4. 同種造血幹細胞移植症例1例

5)指導医のもとで診療チームの一員として、院内倫理審査委員会で承認された臨床研究を経験する。
  1. 臨床研究への参加に関する説明を行い、同意を取得する。

  2. 臨床研究による治療、評価を行う。

  3. 臨床研究の実践に関わる手続き(登録, 調査票作成・提出など)を行う。

6)小児血液疾患および小児がんに関わる研究活動に参加する。
  1. 日本小児血液・がん学会が研修実績として認定する学会に参加する。これらは専門医受験申請までに合計研修単位が100単位以上となるように3年間での研修参加を調整する。

  2. 日本小児血液・がん学会が学術業績として認定する学会発表を、筆頭演者として3年間で3件以上行う。

  3. 日本小児血液・がん学会が学術業績として認定する原著論文を、筆頭著者としての原著論文1編以上を含め、共著者を含め3編作成する。

7)小児がんに関わる院内医療従事者とのカンファランス(Tumor board)に参加する。また院内医療従事者に対する教育・指導を行う。
  1. 診療に関わる基本的事項の指導を行う。

  2. 症例に関わるプレゼンテーションを行う。

  3. 診療に関わる基本的事項の講義を行う。

8)小児血液・がん専門医取得に必要な以下の専門医を取得するための準備を行う。
  1. 日本小児科学会小児科専門医

  2. 日本がん治療認定医機構がん治療認定医または日本血液学会血液専門医

9)小児血液・がん専門医を取得するための準備を行う
  1. 15例の個別症例票を記載する。

  2. 小児血液・がん学会が指定する学会、セミナーへ出席し、合計研修単位100単位以上を証明する出席記録を作成する。

  3. 小児血液・がん学会が指定する学会発表3件のリストを作成する。

  4. 小児血液・がん学会が指定する論文3件のリスト(論文表紙(表題、著者、所属、要約を含む)の写しを添付、筆頭著者としての原著論文1編以上を含むこと)を作成する。

主な予定

(1)Tumor board(小児科+小児外科+放射線科+病理科)

随時開催

(2)移植症例カンファレンス(京都市立病院小児科・松下記念病院小児科などと合同)

3か月毎開催(土曜日 14:00~16:00)

(3)入院患者腫瘍カンファレンス

毎週金曜日 14:00~16:00

(4)週間予定
月曜日 入退院カンファレンス(17:00~18:00)
火曜日 教授回診(14:00~16:00)
水曜日 腫瘍外来(13:30~17:00)
血液外来(13:30~17:00)
外来化学療法(13:00~17:00)
小児症例カンファレンス(18:00~19:00)
腫瘍血液免疫研究室抄読会(19:00~20:00)
木曜日 腫瘍外来(13:30~17:00)
血液外来(13:30~17:00)
入退院カンファレンス(17:00~18:00)
金曜日 入院腫瘍患者カンファレンス(14:00~16:00)

評価

1)レポート提出

対象症例の選定、書式は日本小児血液・がん学会による日本小児血液・がん学会専門医受験に際し求められる事項に従う。提出されたレポートを暫定指導医が指導する。

2)研修開始後6か月毎に下記により研修の進行状況を確認する
  1. 暫定指導医による面談
    本カリキュラムの達成状況など

  2. 小児血液疾患・小児がん診療に関わるスタッフによる評価

3)専門医取得について
  1. 研修期間終了までに下記の専門医を取得する

    1) 小児科専門医
    2) がん治療認定医または血液専門医

  2. 研修終了後に

    1) 小児血液・がん専門医

経験症例達成の見込み

京都府立医科大学医学部附属病院では直近の3年間で以下の診療実績がある。

2013-2015年合計
造血器腫瘍(初発) 30例
固形腫瘍(初発) 58例
非腫瘍性血液疾患(初発) 21例
同種造血幹細胞移植 17例
自家造血幹細胞移植 2例
終末期医療 12例

以上の診療実績からは、当院で合わせて年間に3名程度の研修が見込める。