C.抗菌療法各論

3.アミノグリコシドおよびグリコペプチド至適血中濃度の維持

 アミノ配糖体やバンコマイシンは腎障害の存在によりその排泄が変化し、薬剤の半減期が延長する可能性がある。血中濃度の過上昇は中毒症状を引き起こす可能性があるため、至適血中濃度をモニタリングしつつ投与量を調節する必要がある。これをTDM(Therapeutic rug monitoring)と呼ぶ。治療開始の3〜5日目頃に血中濃度(ピーク値およびトラフ値)を測定するメモ47)

1)至適血中濃度、毒性発現濃度

ピーク値:筋注投与後30〜60分後、点滴静注終了時
ピーク値の上昇は聴覚障害につながる。
トラフ値:筋注・点滴静注投与後8〜12時間目(次回投与直前)
トラフ値の上昇は腎障害につながる。

メモ47) アミノグリコシド系の毒性発現は最高血中濃度(ピーク値)だけでなく最低濃度(トラフ値)とも関連性があることに注意すること。
腎毒性:GM≧DKB≧TOB=HBK>AMK>ASTM

一般名
μg/ml
至適血中濃度毒性発現濃度
ピークトラフピークトラフ
ストレプトマイシン5〜20<540〜505
カナマイシン20〜255〜1030〜3510
ゲンタミシン5〜81〜210〜122
トブラマイシン5〜81〜210〜122
ディベカシン5〜81〜210〜122
シソミシン5〜81〜210〜122
ミクロノミシン5〜81〜212〜164
ネチルミシン5〜81〜212〜164
アミカシン20〜255〜1030〜3510
アストロミシン20〜255〜1030〜3510
イセパマイシン20〜30<5>3510
アルベカニン8〜12<2>122
 
バンコマイシン25〜40<1060〜8030
ティコプラシン20〜605〜10>10060

2)腎機能障害患者への投与法メモ48)参1)2)

(A)投与間隔を調節する方法

 血清クレアチニン値×6時間ごとに通常量を投与

(B)維持量を調節する方法

メモ48) アミノグリコシド系は脱水、フロセマイドなどの利尿剤併用、他の腎毒性のある薬剤との併用等でより腎障害をきたしやすい。グリコペプチドとアミノグリコシドの併用はできるだけ避ける。

参考文献
1)Naber KG,Westenfelder SR,Madsen PO:Pharmacokinetics of the aminoglycoside antibiotic tobramycin in humans.Antimicrob.Agents Chemother.,3(4):469,1973.
2)Burkle WS:Tobramycin and gentamicin a comparison.Durg Intell. & Clin.Pharm.,10:43,1976

 


 

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