B.痙攣・頭蓋内圧亢進

 乳幼児の痙攣に対して、症状と対処のしかたについて簡単に記す。頭蓋内圧亢進の原因となる臨床上の状況は様々であるが、それに続く脳ヘルニアの発生は時に致命的となるので早急な対処が必要である。

1)痙攣重積状態

症状の把握
痙攣の型 全身性・局所性 間代性・強直性
持続時間    
発熱
意識障害


呼吸循環管理
気道確保 エアウェイ、気管内挿管、人工呼吸
血管確保 循環動態の維持

痙攣を止める
 抗痙攣薬の投与
1.痙攣を止める ジアゼパム 0.2〜0.4 mg/kg ゆっくり静注。無効なら10分後に繰り返す。
フェニトイン 3〜5 mg/kg ゆっくり静注。副作用として不整脈、静注後の血管炎に注意。(注:静注前後に生食にてルートを洗い直すこと)
2.抗痙攣維持 フェノバルビタール 4〜7 mg/kg 筋注、坐薬、注腸、経管
抱水クロラール 40〜50 mg/kg 坐薬、注腸。
塩酸リドカイン 1〜2 mg/kg/時 持続静注。
3.以上で治まらなければ チオペンタール、チアミラール、ペントバルビタール 2〜5 mg/kg ゆっくり静注。
(人工呼吸管理の体制必要)


脳浮腫の予防、融解

原因の検索、治療 脳波、CTscan等

 

2)抗痙攣薬

一般名製品名用法
鎮静剤
ジアゼパムセルシン、ホリゾン0.2〜0.4 mg/kg/日 静注
・マイナートランキライザー、ベンゾジアゼピン系鎮静剤
ミダゾラムドルミカム0.15mg/kg静注後
0.1〜0.15 mg/kg/hr
・マイナートランキライザー他剤無効例に使用。
抱水クロラール抱水クロラール(末)、エスクレ坐薬30 mg/kg 注腸、坐薬
・本剤自体にも中枢抑制作用があるが、生体内でトリクロールエタノールに変化し、中枢抑制効果を発揮する。
バルビタール系麻酔剤
フェノバルビタールフェノバルビタール注
0.4%フェノバールエリキシル
ルピアール坐薬、ワゴビタール坐薬
4〜7 mg/kg/日 筋注
内服、坐薬
・長時間作用バルビタール系、作用持続時間は8〜16時間
ペントバルビタールネンブタール注2〜5 mg/kg 静注、筋注
・中時間作用バルビタール系麻酔薬、作用持続時間は4〜8時間
チオペンタールラボナール2〜5 mg/kg 静注
・超短時間作用バルビタール系麻酔薬。投与には気管内挿管、人工呼吸管理の準備が必要。
チアミラールイソゾール、チトゾール2〜5 mg/kg 静注
・チオペンタールと同様の超短時間バルビタール系麻酔薬。投与には気管内挿管、人工呼吸管理の準備が必要。
その他(抗不整脈薬1b群)
フェニトイン
(ジフェニルヒダントイン)
アレビアチン2〜3 mg/kg 12時間ごとに静注
・ヒダントイン系抗てんかん薬。pH12。浸透圧比20。
塩酸リドカインキシロカイン初回 1〜2 mg/kg 静注
以後 1〜2 mg/kg/時
・アミド型系局所麻酔薬、不整脈治療剤。神経伝導抑制作用により抗けいれん作用も発揮する。

 

3)頭蓋内圧亢進

症状意識レベル低下
第3脳神経麻痺(瞳孔散大・不同、対光反射鈍麻)
呼吸のパターンの異常
高血圧、徐脈
異常な運動反射
乳頭浮腫
第6脳神経麻痺

診断CTスキャン
MRI
超音波スキャン
大泉門圧測定(新生児)

治療外科的処置減圧開頭術
脳室外ドレナージ
V-Pシャント等
保存的処置輸液制限
過換気

 

4)脳浮腫治療の薬剤

一般名製品名用法
浸透圧剤
20%マニトールマニトンS1〜3 g/kg(5〜15 ml/kg)
20分で点滴静注 6時間ごと
・浸透圧性利尿剤。浸透圧比約4。生体内でほとんど代謝されずに糸球体よりろ過され、尿細管で再吸収されない。脳容積を縮小して脳圧を降下させる。
10%グリセリングリセオール3〜6 ml/kg 8〜12時間ごと点滴静注
・浸透圧比約7。細胞内に取り込まれても代謝されてエネルギー源となる。
抗痙攣剤
フェニトインアレビアチン2〜3 mg/kg 12時間ごと静注
チオペンタールラボナール2〜5 mg/kg 静注
ステロイド剤
リン酸デキサメタゾンデカドロン初回乳児 1〜2 mg 静注
学童 4 mg 静注
維持0.3〜0.5 mg/kg/日
4〜6回に分割静注

 


 

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